【会津・建築探訪】ただの飾りじゃない? 美しき「天守」に隠された、恐るべき戦闘のカラクリ


会津のシンボルといえば、美しくそびえ立つ「鶴ヶ城(会津若松城)」ですよね。
皆さんはお城を見上げた時、幾重にも重なる波のような屋根や、ポコッと飛び出した出窓を見て「綺麗だな」と感じたことはありませんか?

実は、あの優美なデザインには、ただの飾りではない「敵を効率よく全滅させるための恐ろしい軍事的な計算」が隠されています。
今回は、知っているとお城の見方がガラリと変わる、天守(てんしゅ)建築のディープな暗号とミステリーをご案内します。

【ミステリー①】なぜ信長だけが「天”主”」と書いたのか?

お城の中心となる一番高くて大きな建物を、私たちはよく「天守閣」と呼びますよね。

実はこの言葉、歴史上のお城の記録ではほとんどが「天守」と書かれています。しかし、日本の歴史上ただ一つ、織田信長が建てた安土城だけは「天主」という漢字が使われていたのをご存知でしょうか?

諸説ありますが、神仏をも恐れぬ信長が「自分が天下(天)の主である」と誇示するためだったとも言われています。たった一文字の漢字の違いに、戦国武将の強烈なエゴとプライドが透けて見えてきませんか?

【ミステリー②】関ヶ原の戦いで変わった「天守のカタチ」

お城のシルエット(形)には、大きく分けて2つのトレンドがあります。時代背景と合わせて見ると、当時の大名たちの考え方がよくわかります。

2つの天守のトレンド

・望楼型(ぼうろうがた)天守:
古い時代のお城です。1〜2階建ての大きな土台の家の屋根に、遠くを見渡すための「物見櫓(望楼)」をポンッと乗せた形をしています。下の階がデコボコといびつな形をしていても、無理やり上に櫓を乗せることができる、実戦重視のワイルドな造りです。

・層塔型(そうとうがた)天守:
関ヶ原の戦い以降に登場した新しいスタイルです。1階から最上階まで、規則正しく少しずつ小さくしながら四角い箱を積み上げていく、スマートで美しい形をしています。天下泰平の世に向かい、「戦う砦」から「権力のシンボル(見栄え)」へとシフトしていったことがわかります。(※現在の鶴ヶ城も、この層塔型の美しいシルエットを持っています)

美しき屋根に潜む、スナイパーたちの死角ゼロ空間

お城の屋根のあちこちにある三角形の装飾「破風(はふ)」と呼びます。千鳥(ちどり)破風や唐(から)破風など、様々な種類が組み合わさって見事な美しさを生み出していますが、もしあなたがこのお城を攻める兵士だったら、これほど恐ろしいものはありません。

なぜなら、この破風の裏側や、外に飛び出した「出窓(でまど)」には、死角を消して真下や横方向の敵を撃つための機能が詰まっているからです。

迎撃のための恐るべきギミック

・狭間(さま):
壁に開けられた丸や三角、四角の小さな穴。ここから外の様子を伺い、弓矢や鉄砲で安全に狙撃(スナイプ)しました。

・石落とし:
出窓の床の一部がパカッと開き、真下に向かって石を落としたり熱湯を浴びせたりする恐ろしいトラップです。

外から見ると「美しい装飾」ですが、中から見れば「完璧な要塞」。このギャップこそが、日本の城郭建築の最高にアカデミックで面白いところです。

歴史の「裏の顔」を読み解くフィールドワークへ

いかがでしたでしょうか。

「旅の糸」では、こうした城郭建築の「美しさ」と「恐ろしさ」の二面性を、ガイドの臨場感あふれる解説でご案内する【教養(Academic)スタイル】のツアーをご用意しております。

「あそこから鉄砲で狙われていたのか!」「この出窓から石が落ちてくるのか!」
そんな風に、攻める側・守る側の視点に立って鶴ヶ城を見上げてみませんか? 皆様と歴史の謎解きができる日を、心待ちにしております。

裏磐梯を、もっと自由に。もっと深く。

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